コラム・春 シンギュラリティー

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、AI(人工知能)が発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こるということ。AIの権威であるレイ・カーツワイル博士が提唱した「未来予測の概念」で、少なくとも2045年までには到達するとし、2045年問題と言われている。

AI、IoTなどデジタル技術が、自動運転や家電製品など具現化しつつあり、もはやSFの世界から身近な存在として感じることのできるようになった。技術のもたらす生活の利便性の向上や産業の生産性向上、経済成長に関して期待は大きい。しかし、懸念もある。テクノロジーが雇用を奪うこと。人間の労働者は機械にとって代わられる。製造、サービス、そして医者・公認会計士・法律家とて事例の積み重ねと法律上の判断となれば置き換わる可能性がある。

これからの時代、人類は何をし、生きていくのか。人間が人間として生きていくために、デジタル技術が人間の補完的関係であってほしい。となれば、残る仕事は、機械に代替できない、人間にしかできないと言われる創造性(課題発見)、融合・調整、心・精神・思考に係ることなのかもしれない。

とはいえ、機構も平成30年度事業計画の中で、デジタル技術活用について農業分野等における活用可能性などの調査研究や事業上の活用にも着手していきたい。会員の皆様には本年度も人材サービス、調査研究事業の利用について宜しくお願いします。

(常務理事 浦野邦衛)


コラム・冬 新年新年“戊(つちのえ)戌(いぬ)”の年は、分岐点の歳

平成30年“戊戌(つちのえいぬ)”の年を迎えました。 今上天皇の退位が来年4月30日、翌日5月1日新天皇が即位する。改元もこの時となる見込みで、平成も30年、本年が区切りの年となります。

戊(つちのえ)の「植物の成長が絶頂期にある」と、戌(いぬ)の「草木が枯れる状態を表す」というと比和の関係、今まで頑張ってきた事が、見事に花開き、頑張ってこなかった人は現状維持からより悪い状態になるという、所謂、結果が明確になる年、『分岐点』と言われています。

農業関連にとっては、本年50年近く続いた生産調整が見直され国の関与が大幅に後退します。 農協改革も集中実行期間の最終年です。不安・懸念はマックスですが、切っても切れない関係だった「水田と農協」の分岐点、十干十二支的に言えば、結果が明確になる年なのかもしれません。

強いられる改革よりも自ら取り組んできた改革こそが結果であるとしたい。「水田と農協」持続可能な姿として次代につなげていく。その一助となるよう開発機構も取り組んでいきたいと思います。「地域農業の振興・地域の活性化・JAの革新をサポートする研究開発機関」として、本年も宜しくお願いいたします。

(常務理事 浦野邦衛)


コラム・秋 「制度としての農協」そのくびきからの解放

北海道大学名誉教授 太田原高昭先生が8月にご逝去された。日本協同組合学会、日本農業経済学会の会長を務めるなど、農協とともに半生を奉げた農協研究者の重鎮である。

太田原先生が、最後に手掛けた著書「新・明日の農協」の中で、農協は自主自立の協同組合でありながら農政の補助機関であるという矛盾した存在。 米政策を担ってきた農協が、いわゆる減反政策の廃止とともに規制改革会議の農協改革の提言は、農政にとっての農協の必要性が終わったとの認識から来たもの。 農協にとっても一つの時代が終わったことは明らかで、政府の農協改革に対し、主体的な自己改革で対置するが、自主自立の協同組合として次の時代を展望する見取り図を得ることが自己改革を確かな基盤に置くことになるとしている。

今では太田原先生の遺言となってしまったが、その言わんとするところは、政治に依存することなく協同組合らしく共通の目的・目標に向かって組合員と共に悩みながら知恵を出し合い明日の農協を“共創”していくことではないか。

当機構にも太田原先生の愛弟子が在籍しているが、太田原先生のご冥福をお祈りしつつ、協同組合の歴史を振り返り、原点を見つめて、現場課題を組織化していくことこそ協同組合であるとの認識を新たにした。

(常務理事 浦野邦衛)


コラム・夏 定番商品の消長に思う ~カールとスーパーカップ~

ポテトチップスやカールなどスナック菓子が店頭から消えるとの話題がニュースになる時代となった。 国内のスナック菓子の市場規模は約4200億円(14年)で年々拡大している。これはお菓子=子供の時代から大人を対象した商品開発、CM等マーケットの拡大を図ってきた結果だ。

明治の「カール」は68年スナック菓子の先駆けとして、お菓子=甘いのイメージを打ち破り、CMソングとともに大ヒット、約40年のロングセラー商品となった。販売不振の原因は①マーケットの変化(ポテト商品優位)②消費者志向(コンビニ対応)③メーカーの投資意欲(CMなど)があるようだ。

一方、明治の定番商品であるカップアイス「スーパーカップ」は94年発売以来今でもトップシェア誇る。 消費者支持のポイントはボリューム感(100円150mlを200mlに)だ。国内のアイスクリーム市場も約4600億円で堅調に伸びている。 アイスはスーパー特にコンビニで冷凍庫のシェア争いが激烈だが、スーパーカップは控えめな商品ながらトップシェアを続けてきた。 理由は、①ボリュームと価格設定②安心感(2位転落時にも市場調査を基に味は微修正したのみ)③多様化挑戦(他社の攻撃に対し基本商品は変えず多様化)、ブランドを守り攻めるとこは攻めたとのことだ。

さて、カールもスーパーカップも発売当初常識を打ち破る商品開発をし、トップブランドとなったが、その後の展開、消長は象徴的だ。 農協も70年の定番商品・ブランドだが、政府の農協攻撃はともかくも、組合員や世間、社会経済の動き捉え守るべきは守り攻めるべきは攻めることこそ、自己改革だと思うがどうか。

(常務理事 浦野邦衛)


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